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そんなクニ兄が幼なじみともなると、俺に近付いてくる人種も似たり寄ったり。
外面内面違えど、本来の目的はクニ兄。
最も手短に、かつ確実に知り合えるという攻略法に、俺を利用するのが最有力なのだそうだ。
利用っていうのはそう、表面上は友達…みたいな?
今となっては浅く広くがモットーとなりつつあるからなんとも思わないが、中学や高校のときなんかは、いちいち落ち込んでいた。
いくらクニ兄狙いとはいえ、やっぱり人間社会。
一定の距離感を保てば大抵は無難に上手くいくのだが、なかには俺自身をも探ろうとする奴もいる。
そうして言われるのが、
「つまんない」。
つまんなくて結構!
クニ兄の幼なじみってだけで、何を期待したのだろうか。
俺にとっちゃ謂われのない屈辱だし、ただの迷惑だった。
―…誰も俺自身を受け入れてはくれないのだろうか。
ときにはクニ兄を恨むこともあったが、それはすぐに無意味だと悟った。
天性のカリスマに勝るものはない。
俺は俺を、諦めることにしたんだ。
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