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「触り心地いいね…………」
「…………」
「それで……眠れないんでしょ?」
「…………」
無言で頷く彩夏。
目を開けてはいないが、彼女の頭が胸板の上を動く感触で、ハルにはそれがわかった。
「はは、昼間寝るからだよ」
明るく、絞り出すような声でハルは笑った。
今日は仕事だったこともあり、今にも眠りに落ちそうなハルだったが、気合いでなんとか意識を保っていた。
「ハルさんが私のことほったらかしにしてるからです」
「言わないでよ、仕事なんだからさ」
仕事だからこそ、彩夏は口を酸っぱくして言っているのだ。
幸か不幸か、この姉弟は幽霊やその他諸々が視えちゃったりするのである。
そういう家系に生まれたハルが学業の合間に、その少ない時間でできる割の良い仕事は――
「なら、もっと高校生らしい真っ当なお仕事してください…………今日は何してたんですか?」
「お祓いだよ。 取り憑かれてた家が半壊したけど、なんとか勝利」
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