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ハルはパソコンに疎く、携帯でもサイトを閲覧するだけ書き込み一つできないくせに、電話帳の登録件数は無駄に多かった。
当然だが、登録されているのは直に知り合った人のみ。
高校の友達だけでなく、バーの店主や倍以上歳が離れている人など、その人脈は彩夏など足元も及ばないほどだ。
そして何より彩夏が気にいらないのが、登録されている女性の多さである。
これがクラスメートならまだ安心できるが、大半が大人の、何かあっても自分で責任を取れる人達だ。
ブラコンとしては、弟の貞操が本気で心配になる。
「…………」
スタート。
電話帳に登録されている名前を、自らの記憶と照らし合わせていく。
定期的に、新しく誰かの番号を登録すれば報告してもらっているので、作業は滞りなく進行した。
そして数分後――フィニッシュ。
「…………」
何もなかった。
彩夏は祈るような想いで再び電話帳を確認する。
だが電話帳はもちろんのこと、受信フォルダも、送信フォルダも、未送信にも何一つ彼女の求めるものが見当たらない。
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