人生、色々

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人生、色々

菊地涼子、六十五歳は旅行会社の添乗員でバリバリのキャリアウーマンだたった。だが、彼女の母親が癌で、入院して、しょっちゅう病院から電話があり、早退や休みを取らなくてはいけないようになってしまった。それが何度も続くので退職願いを渡された。その日も病院から電話があり、見舞いに言った。彼女の母親は、咳をしながら、「会社は上手にやれとる?」と擦れた声で言った。「辞めたよ。これから、ずっと、お母さんの傍にいれるからね」と嘘をついた。「会社辞める位なら無理して来る事ないのに」と言われると「もう定年間近じゃし」と言った。「明さんとは上手くいっとる?」明というのは涼子の旦那だ。「あんたら、いつになっても、夜の営みしとらんじゃろ」「あの人、忙しいから帰って、ご飯食べて、お風呂に入ってすぐ寝ちゃうんじよもん」「生きとる内に孫の顔みせてや」涼子は困った。「成るべく頑張る」と言い、病院を出た。帰宅して夕御飯をつくってると明が帰ってきた。涼子は唐突に「子供作ろ」と言った。明は「この年では無理じゃろ」とネクタイを解きながら言った。「お婆ちゃんの夢、叶えたい」「何それ?」「孫の顔が見たいんだって。」「そうか…」明は決心して、子供を産む事にした。産婦人科に行き、難産だったが、何とか産まれた。名前を2人とも尊敬する元カープの高橋慶彦からとって「慶彦」となずけた。ふたりは「よっちゃん」と可愛がり、歩き出せる用になって病院へ連れていった。お婆ちゃんに涼子が「ほら、孫の慶彦よ。よっちゃんって呼んであげて」お婆ちゃんは盤面の笑みを浮かべて「よっちゃん」と言うと慶彦は「こんにちは。早く元気になってね。」お婆ちゃんは歓喜の余り涙を流して微笑んだ。涼子とお婆ちゃんの夢が叶った。
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