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晴れ渡る空のした、小鳥たちが朝の訪れを皆に知らせるかの如く歌っている。
そんな中、とある家の一室には、小鳥たちの歌声に気付かず、平和そうな寝顔でスヤスヤ寝ている一人の青年がいた。
彼の名は“大藤 和樹”。私立獣耳高校(略してケモ高)に通う高校2年生だ。
和樹が気持ちよく寝ているなか、彼が寝ているベットのわきの窓が音もなく開いた。
そこから、雪の様に白いほっそりとした二本の腕が、和樹の首筋に向かって伸びていった。
その腕は半分の所まで伸びると、一旦止まった。
そして、勢いをつけて和樹の首筋に飛び掛かった。
「うわっ!!」
さすがに、これには驚いたのか、和樹は飛び起きてしまった。
そして、自分の首に巻き付いている人物をみて安堵のため息をついた。
「スズ、お願いだからこの起こし方は止めてくれ…」
「えへへ。おはよう、カズ」
和樹の首に巻き付いていた張本人は、その腕をほどくと和樹に向かって、無邪気な笑顔を向けた。
よく見ると、その笑顔の女性の頭には、黒猫の耳の様な物が付いていた。
そして、その背後には真っ黒な尻尾が、嬉しそうにブンブン振られていた。
彼女は、猫の獣人なのだ。
彼女の名は、“猫柳 鈴凪(ネコヤナギ スズナ)”和樹と同じケモ高の2年生だ。
鈴凪の両親と和樹の両親は、どちらも差別反対派の人達だったので、物凄く仲がよい。
そして、和樹達も家が隣同士ということもあり、物心つく前からの付き合いである。
いわゆる幼馴染みというやつだ。
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