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和樹は、そんな幼馴染みの行動に呆れているのか、それとも、ホッとしているのかよく分からない溜め息を再びついた。
「スズ、もうちょっと普通に起こせない?」
「これくらいじゃないと、カズは起きないでしょ?」
未だに、和樹に馬乗りになっているスズは、さも当たり前の様に言った。
ここまで、無邪気に言われると怒る気が失せてくる。
「は~…。ところで、アイはどうした?」
「アイちゃんなら下でカズママの手伝いしてるよ」
「そっか、アイは料理だけは得意だったよね」
そんなことを考えていたら、下から誰かが上がってくる音が響いた。
「和樹、ご飯できた…。あらら、お楽しみ中だった?」
ノックも無しに和樹の部屋のドアを開けた女性が、和樹と鈴凪の状況をみて変な勘違いをしたようだ。
この人は、“大藤 霙(オオフジ ミゾレ)”和樹の母親である。
「な!ち、違うよ!!」
「邪魔して、ごめんなさいね。それじゃあ、ごゆっくり」
そういって、静かに扉を閉めた。
和樹と鈴凪の間に、なんとも気まずい雰囲気が漂った。
「と、とりあえず、着替えしたいから先に下行ってな」
「う、うん。そうする」
そういって、和樹のベッドから降りた鈴凪は、顔を真っ赤にしながら下にかけ降りていった。
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