朝の襲撃者

4/19
前へ
/67ページ
次へ
鈴凪が下へ行ったのを確認すると、和樹は本日三度目の溜め息を吐くとベッドから立ち上がり、着替えを始めた。 …… ………… …………………… 「おはよ~」 寝間着から制服を着替えた和樹は、顔を洗ったり歯を磨いてからリビングに向かった。 そこには、すでに和樹の両親と鈴凪と鈴凪そっくりだが、髪と耳と尻尾の色が白い女の子がテーブルに着いていた。 「おはよう。早く着きなさい」 「案外早かったわね」 「おはよう。兄さん」 「今日は随分と余裕だな」 和樹の挨拶に、そこにいた人達がそれぞれ挨拶を返した。 「アイ、おはよう」 そう言いながら、和樹は自分の席についた。 アイと呼ばれた白い猫耳の女の子は、“猫柳 逢凪(ネコヤナギ アイナ)” 鈴凪の妹で猫族の獣人である。 「ハハハ、鈴ちゃんといいことしたばかりなのにもう鞍替えか?」 和樹によく似た男性の言葉に、鈴凪の顔が真っ赤に爆発した。 「父さん!朝っぱらから下品だよ!スズも勘違いをされるような反応しないで!!」 この男性は、和樹の父親で“大藤 武(オオフジ タケル)”という。 「兄さん…」 逢凪は、耳も尻尾も垂らして全身で悲しみを表現している。 どうやら、武の言葉を信じてしまったようだ。 「ア、アイ。父さんが言ったのは、嘘だからそんな悲しそうな顔をしないで」 だが、それでも逢凪は悲しそうな表情を崩さなかった。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加