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鈴凪が下へ行ったのを確認すると、和樹は本日三度目の溜め息を吐くとベッドから立ち上がり、着替えを始めた。
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「おはよ~」
寝間着から制服を着替えた和樹は、顔を洗ったり歯を磨いてからリビングに向かった。
そこには、すでに和樹の両親と鈴凪と鈴凪そっくりだが、髪と耳と尻尾の色が白い女の子がテーブルに着いていた。
「おはよう。早く着きなさい」
「案外早かったわね」
「おはよう。兄さん」
「今日は随分と余裕だな」
和樹の挨拶に、そこにいた人達がそれぞれ挨拶を返した。
「アイ、おはよう」
そう言いながら、和樹は自分の席についた。
アイと呼ばれた白い猫耳の女の子は、“猫柳 逢凪(ネコヤナギ アイナ)”
鈴凪の妹で猫族の獣人である。
「ハハハ、鈴ちゃんといいことしたばかりなのにもう鞍替えか?」
和樹によく似た男性の言葉に、鈴凪の顔が真っ赤に爆発した。
「父さん!朝っぱらから下品だよ!スズも勘違いをされるような反応しないで!!」
この男性は、和樹の父親で“大藤 武(オオフジ タケル)”という。
「兄さん…」
逢凪は、耳も尻尾も垂らして全身で悲しみを表現している。
どうやら、武の言葉を信じてしまったようだ。
「ア、アイ。父さんが言ったのは、嘘だからそんな悲しそうな顔をしないで」
だが、それでも逢凪は悲しそうな表情を崩さなかった。
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