149人が本棚に入れています
本棚に追加
美少女がいた――
ゴールデンウイークも終わり、やっと高校にも慣れてきた今日、ぼけーっと歩きながらおれは学校へ向かっている。
ゴールデンウイークに何をしていたのか全く覚えてない。五月病。
ああ、なんか――
「だるい」
典型的な五月病にかかり、典型的な五月病にかかったときの台詞をはく。
彼女と初めて出会ったのは、そんなどこにでもある日常の一時だった。
つやのある長い黒髪。威厳を感じさせる瞳。雪のように白い肌。凛としたたたずまい。
道路脇の壁の傍に隠れるわけでもなく、むしろ威風堂と立っている。
その姿は正に――
大和撫子。
そう呼ばれるに相応しい美少女が、そこにはいた。
ただ。
おそらく、いや確実におれを見てる。
何故か見てる。
穴があくほどこっちを。
何で?
平凡なはずの高校生であるおれはまだ変態行為はしていない(別にこれからもする予定はないけど)。
顔が芸能人に似ているわけでもない。
なら、そんな子が何故おれを見ている?
まさかあいつ。
おれに気が――
……あるわけないよな。
最初のコメントを投稿しよう!