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「全く……じゃあカラスは?」
「誰のものでもありません。なんの変哲もないただのカラスです」
平坦な口調に戻った声で、彼女は言い切る。
「じゃあなんで青いんだよ!?」
「カラスが青いわけではありません。カラスが青く見えているのです」
「わけわかんねえよ!」
やばい……質問の答えを聞いて余計に混乱してきた。
しかし、そんなことはお構いなしに話は続く。
「見えているという言い方は語弊がありました。カラスに違和感を感じたと言うほうが近いようです。本質的には変わりませんけれど」
「それ以上分かりやすく言えないのか」
「百聞は一見に如かずです。すぐに……」
「分かります……か」
溜息混じりにおれは言うと、さっきの焦りは何処へやら、彼女は満足そうに笑った。
「三次審査で全ての審査は終わりです。これをどうぞ」
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