質問と名前

9/10
前へ
/229ページ
次へ
メモ帳サイズの紙を渡された。 「何も書いてないけど?」 「…………失礼。その紙と、何か書くものを貸してください」 なんだ今の間は? 気にはなったけど、とりあえずペンを貸す。 手の平の上で、さっきの紙に何か書いていた。 「電話番号とアドレスです。ご用のあるときはこちらへ」 改めて紙を渡される。 それは奇妙だった。 アドレスも番号も初めて見た……いや、初めてというのは当たり前なんだけど、アドレスは記号ばかり。番号も、090や080がついていないもの。 それに、黒板の文字と筆跡が明らかに違う。どっちも上手いんだけど、これは達筆、黒板のは精密って感じだ。 ――考えすぎか。黒板にそっくりそのまま、文字を書ける方が珍しい。 とにかく。 怪し過ぎるだろ? 適当な番号教えて逃げる詐欺師かよ。 そう思い制服から携帯を取り出し、数字を打ち込む。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

149人が本棚に入れています
本棚に追加