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「これで最後だ。おれになにをさせるつもりだ? 指令でも出すのか?」
表情を真剣なものに変える。
「私の仕事は人々を審査し合格者に同行、観察することです。よって、あなたに指令を出すということはありません」
「じゃあ何をすればいいんだよ?」
「何もしなくても、何かをしても、それは全てあなたの自由です。しかし、あなたは合格者です。何もしない、何もできないということはないでしょう」
「そうかよ……ああ、あと言っておきたいことがある」
すがたのようにたっぷり間を溜めて一言。
「おれはあなたじゃない……日並だ」
「知っています」
あっさり返された。なんかショック。
「……日並君」
それはとても懐かしい響きで、とりあえずショックっていうのは前言撤回しておくことにした。
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