愛クダサイ

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 魔法使いと聞いてあなたは何を思うだろうか?  かの有名なハリー・ポッター氏を思い出すかもしれないし、別のノベルを思い出すかもしれない。  RPGかもしれない。  映画かもしれない。  それともマンガかもしれない。  現代の汚れ荒んだ世の中には、そこから悪事へと妄想を膨らます人もいるかもしれない。  何にせよ、それらは全て空想上の出来事であって――過去にはイギリスで魔女狩りなんてものもあったらしいが――それでも今の世界には魔法なんてないものだとされている。  だが、繰り返す現代を生きる誰もがそれに憧れを抱いているのも事実である。勿論例外もあるが。  そして、俺も幼い頃から魔法というものに目を輝かせていた一人である。というより今も、だ。――いや、決して三十歳までDT宣言ではないぞ。断じて。  ともかく、俺が初めて魔法に出会ったのはそれこそ例のハリー・ポッターだったか……いや、もしくは絵本の中の何か魔法的な不思議な出来事だったかもしれない。けれども、つまるところはどれも空想上の話である。  ……あれ? これを言うのは二回目だな。  まあ、つまりはそういうことだ。魔法なんてものは存在しない!  しかし、現代の常識であり、自然の摂理でもあるその魔法についての定義をヤツは……ヤツは覆してしまった。  これから話すことは俺が体験した、ヤツの魔法についての物語だ。  物語は教室から始まった――
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