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「……それってどういう意味だ?」
そんな個性的な彼女だ。もしかしたらこ、こここ告白なのかもしれないが、どうも違うような気がする。
何というか……う~ん、そうだな……えっと――
「実は私、魔法が使えるんです!」
「――は?」
何の脈絡もなくそう言い放つ天見。
聞き間違いじゃなければ今、魔法って言ったよな? んでもって魔法ってあれだよな? 炎を出したり、光を灯したり、箒で飛んだりできるあれだよな?
いやいや、待て待て。いくら学校一の不思議ちゃんといえど、流石に魔法使いだなんて非現実的な存在ではないはずだ。つまり……
「それ……ギャグか?」
だよな? きっとそうだ。
ギャグだと言ったら盛大に笑ってやろう。そう思っていたのに、彼女は軽く頬を膨らませて反論してきた。
「違いますよ~。私、本当に魔女なんですから」
どうやら本当に痛い子らしい。そうかそうか。元々俺は女子との交流は皆無に等しい。ならば華麗にスルー……
「ちょっと! どこ行くんですか!」
鞄を左肩に掛けて立ち去ることを試みたが、がっちりと空いた右腕をホールドされてしまった。ふむ……なかなか美味しい展開である。
俺は右腕に全神経を集中させた。
「いや、うん……暗いから気をつけて帰れよ」
「まだ帰しませんよ」
ちっ。力ずくに振り払うにも相手は女子だし……困ったものだ。しゃあねえ、少々コイツの戯れ言に付き合ってやんよ。
「……そんで、その愛と魔法になんの関係があんだ?」
お願いだから手短に!
所詮無駄だとは思うが、僅かな期待を込めてそう願っておくとする。
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