愛クダサイ

4/36
前へ
/39ページ
次へ
「……それってどういう意味だ?」  そんな個性的な彼女だ。もしかしたらこ、こここ告白なのかもしれないが、どうも違うような気がする。  何というか……う~ん、そうだな……えっと―― 「実は私、魔法が使えるんです!」 「――は?」  何の脈絡もなくそう言い放つ天見。  聞き間違いじゃなければ今、魔法って言ったよな? んでもって魔法ってあれだよな? 炎を出したり、光を灯したり、箒で飛んだりできるあれだよな?  いやいや、待て待て。いくら学校一の不思議ちゃんといえど、流石に魔法使いだなんて非現実的な存在ではないはずだ。つまり…… 「それ……ギャグか?」  だよな? きっとそうだ。  ギャグだと言ったら盛大に笑ってやろう。そう思っていたのに、彼女は軽く頬を膨らませて反論してきた。 「違いますよ~。私、本当に魔女なんですから」  どうやら本当に痛い子らしい。そうかそうか。元々俺は女子との交流は皆無に等しい。ならば華麗にスルー…… 「ちょっと! どこ行くんですか!」  鞄を左肩に掛けて立ち去ることを試みたが、がっちりと空いた右腕をホールドされてしまった。ふむ……なかなか美味しい展開である。  俺は右腕に全神経を集中させた。 「いや、うん……暗いから気をつけて帰れよ」 「まだ帰しませんよ」  ちっ。力ずくに振り払うにも相手は女子だし……困ったものだ。しゃあねえ、少々コイツの戯れ言に付き合ってやんよ。 「……そんで、その愛と魔法になんの関係があんだ?」  お願いだから手短に!  所詮無駄だとは思うが、僅かな期待を込めてそう願っておくとする。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加