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「ねぇ、今日は何も準備してないみたいだし、明日にしたら?」
どうしても諦めきれないリリアは、ヴェインの歩みを止めようと再度話し掛けた
「確かに。あるのはこのペットボトルだけだしな」
ヴェインは先ほどリリアが凍らせたペットボトルを上げ、目線をペットボトルへと送る
「でしょ? ちゃんと準備しておかないと、何があるかわからないんだから」
ヴェインは頷きながら、リリアに向かって引き返した
「家まで送ってあげる。歩きより転移魔法のが楽でしょ」
「頼んだ」
リリアは嬉しそうに微笑むとヴェインの肩に手を置く
「じゃ明日朝8時に迎えに行くわ。『コールス』」
「ちょっ……!?」
ヴェインが何かを言う前に、彼の姿は風のように消えた
「何も無いに決まってるじゃない。だってあのロイス=カタロフが調べたんだから……」
1人残ったリリアが淋しそうにそう呟くと、一端の風がまるで彼女の呟きを消すように吹き荒れた
その風が止む頃には、彼女の姿はその場から消え去っていた
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