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あたしは後で考えた。
孤児で2度と両親に逢う事なんてないなんて思っていた自分に当たり前のように父親が居て、会うこともないまま逝ってしまったその人をあたしは・・・あたしは・・・気にしてないなんて強がりで消そうとしてただけだったって。
気づいてしまった。
だって、悲しいんだもん。
涙が出て、お酒をどんだけあおったって、いつものように消えていかない嫌な残像。
それは残像じゃなくて、幼い頃から思い描いてきた『家族』というものへの想いだったんだと思う。
それが一気に溢れてしまった。
そんな時に運悪く当たってしまった男の子・・・。
あたしは彼の背中で散々泣いて、散々わめいた。
あんな事一度だってしたことなかったのに・・・。
・・・やっちゃったなぁなんていったって、後の祭りだよね・・・。
あたしの指差しにあわせて歩いてくれた彼の首に巻いていたマフラーは、あたしの涙やら鼻水やらでぐっしょり。
でも、彼は文句も言わずただ歩いてくれた。
いつものあたしなら警戒心丸出しで、こんなことありえないのに・・・あたしの寂しさ暴走しちゃってる?
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