2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
籠の中の鳥は自由を夢見る。
毎日決まった食事をし、毎日決まった場所で寝る。
そして、飼い主のご機嫌を伺いながら歌う日々。
安息という名の不自由。
窓の外に見える、庭へ降りてくる一羽の鳥。
雄大なその翼は自分の意思で何処へでも飛べ、その大きなくちばしは好きな物を食べられる。
籠の中の鳥は自由を夢見る。
自由を夢見る鳥は、今日も歌いながら、再び外の鳥を見た。
その姿はボロボロで、今日飼い主が残した残飯のゴミを食い漁っている。
そこに夢見た自由と雄大さは無く、ただただ呆然とした。
歌うのを止めた鳥に、飼い主がヒステリックに叫びながら籠を揺らす。
再び歌い始めると飼い主は笑顔になり、食事をくれた。
自由を夢見た籠の中の鳥は、与えられた食事を取り、いつもの様にまた歌う。
窓の外にはもう鳥は居なかった。
最初のコメントを投稿しよう!