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大空を飛ぶ鳥は安息を夢見る。
毎日空腹を満たす為に飛び回り、羽を休める為の寝床を探す。
そして、外敵から身を守りながら過ごす日々。
自由という名の不自由。
降り立った屋敷の窓から見えた籠の中の鳥。
暖かなその部屋は、必ず食事が与えられ、その立派な籠は外敵に襲われる心配は無い。
大空を飛ぶ鳥は安息を夢見る。
安息を夢見る鳥は、今日も屋敷の庭に降り立ち、再び窓の中の鳥を見た。
飼い主に籠を揺らされながら歌い、食事を与えられている。
そこに夢見た安息と安全は無く、ただただ呆然とした。
屋敷の住人が、残飯を漁る鳥を追い払いに来た。
大きなくちばしで最後の一口をついばみながら、空高く舞い上がる。
安息を夢見た大空の鳥は、空腹を満たし、いつもの様にまた寝床を探す。
振り返った屋敷は小さく、もう見えなくなっていた。
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