野望①

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ある国に一人の若者が居ました。   若者は、いつか国のトップに立ち、国に支配される側から国を支配する側に立ちたいと思っていました。   若者は、一生懸命努力しました。 野望を実現させるのに不必要なモノは全て排除しました。 友人との遊びも、恋人からの誘いも、様々な誘惑を若者は跳ね除け、ゆっくりと、しかし確実に自分の野望へと進んでいました。   いつしか、若者が若者と呼ばれなくなる年齢になった頃、若者だった者は夢を叶え国のトップにたちました。   多くの家来と大きな国。 若者だった者は、思い描いていた通りの地位に就いたのです。   若者と呼ばれなくなった者が老人と呼ばれるようになった頃、老人には信頼できる友人はいませんでした。連れ添う恋人もいません。  何故なら、老人が若者だった頃、それらは不要と考えていたからです。   老人が力を少しずつ失うようになった頃、老人の周りから家来や国民が離れていきました。   そして、支配する側の老人は、今度は支配される側の人間から立場を追われるようになったのでした。
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