野望②

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ある国に一人の若者が居ました。   若者は、いつか国のトップに立ち、国に支配される側から国を支配する側に立ちたいと思っていました。   若者は、一生懸命努力しました。 しかし、若者は誘惑に打ち勝つことが出来ませんでした。   友人と遊び、恋人と語らい、様々な誘惑を若者は堪能し、ゆっくりと、しかし確実に自分の野望から遠のいていていきました。   いつしか、若者が若者と呼ばれなくなる年齢になった頃、若者だった者は夢を忘れ、どこにでもある家庭を築いていました。   多くの仲間と小さな家庭。 若者だった者は、一つの幸せを手に入れました。   若者と呼ばれなくなった者が老人と呼ばれるようになった頃、老人にはお金も食料もわずかしか残っていませんでした。   何故なら、老人が若者だった頃、それらを貯える努力をしなかったからです。   老人が力を少しずつ失うようになった頃、老人の周りから家族や友人が離れていきました。   そして、支配される側の老人は、更に支配する側の人間から追い詰められるようになったのでした。
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