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「…………」
美阪から目を逸らし黙り込む。
緩まない空気に、胃に穴が空きそうになった。
「……友人に、頼んでやらないことも無いですが」
「え……っ」
素っ頓狂な声を上げ、目を丸くする。
「だから、住み込みの職場を紹介すると言ってるんです」
完全に背を向けてしまった彼。
嫌々言っているように見えるが、どうやらまんざらでも無いらしい。
「本当ですかっ!?ありがとうございます沖田さん!」
少しの沈黙の後、跳びはねるように喜ぶ少女が一人。
うるさいと言っても利かない彼女に、沖田は深い溜息をついた。
「……その代わり。また戻って来たら、今度こそ斬りますからね」
「はいっ」
つんとした態度の彼に対し、美阪は満面の笑顔を浮かべる。
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