現-ウツツ-

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不信に思いゆっくりと振り返ると、 床に古びた本が落ちていた。 「………」 美阪は首を傾げる。 この廊下には本が置ける障害物などない。 あの渇いた音からして、この本は紛れも無く、どこからか落ちてきたのだろう。 「誰かが落としたのかなぁ…」 言葉を口にした瞬間、廊下に誰も居ないことが分かった。 前の方を見ると、廊下を抜けた所にあるカウンターで、明が従業員と何か話していた。 本の表紙を指でなぞる。 「?……沖田…そう、じ…?」 本は黒ずみ、埃を被っていたが、 確かにそう読み取れた。 「(沖田総司って、私の前世の人…?)」 緊張に震える手で、ボロボロの本を開く。  
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