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「悪い……少し整理させて……」
「うん……いいよぉ~」
さっき七海は俺にしか見えないし、聞こえないと言った。それは死神にとり憑かれているからであって……つまり何だ……。
整理つもりだったが逆に混乱してきた。
結論――俺はどうなるんだ?
「なぁ? 七海? やっぱり俺は死ぬのか?」
「ううん……わかんない。でも違うと思うよ。むしろ……その逆なの」
「逆? どういうことだ?」
「あたしたち死神は人の寿命がわかるの。何年何時何分何十秒。場所、そして死因まで……。でも、ちーくんは別なんだ。寿命がわからないの。ううん、正確に言えば……寿命がないの」
「寿命がない? 俺はなんだ、不死の力でも手に入れたのか? それとも、実はもう死んでるのか?」
「……それはない……と思う」
目線を反らし、七海はそう言った。
「これは死神が持っている死の書。ここに全て書いてあるの」
七海は一冊のノートをどっからか取り出した。見た目はただの大学ノートであった。中を見ると沢山の名前と死因、寿命が書いてあった。
見てて面白くはなった。自分の名前を探そうとはしたが、知りたくはなかった。結局止めてしまう。
……七海が寿命がないって言ってるならきっとないのだろう。見るまでもない。
七海にノートを返す。「ありがとう」とお礼を言い、話を進める。
「それに寿命が亡くなった者を死神の鎌で刺したら、肉体から魂が切り離されるはずだもん。あたしはちーくんを2回も刺した。でも、その2回とも痛みだけしかなかった。魂が肉体から離れるんだもん。痛みなんてないはずだよ――」
「お前……ただ刺してじゃないのか? それじゃ、俺はまだ死んでないってことか?」
「ぁ、うん……。死んでないよ」
「ならいいや。死んでないなら大丈夫だ。それに寿命がないからずっと生きていられる……」
「ううん違うよ。寿命がないってことは逆に言えば……いつでも死ぬこと出来ちゃうってことだよ」
「いつでも……死ねるか」
「うん。いつでもだよ。毎日が命日なるかも……」
悲しそうな顔で俺を見つめる。
「そんな顔すんなって。俺はまだ死んでないだろ? んでこれからも死ぬことはない……それでいいだろ? なぁ?」
「でもちーくん、今日死んじゃうかもしれないんだよ……明日かもしれないし……毎日毎日」
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