朝起きて憑かれて

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朝起きて憑かれて

「ねぇねぇ? ちーくん、ちーくん。あたしちーくんの死神になっちゃった~。えへへ~よろしくね」 「はぁ……?」  その時、俺――御榊(みさかき)智弘(ともひろ)はベットに仰向けで寝ていた。今起床したばかりでまだ目が覚めていない。  昨日寝るのが遅かったのが原因なのか、それともあまりにも急過ぎる話に俺の思考力がついていけないのか、ただ呆然とふわふわ雲のよう浮かんでいる七海(ななみ)を見ることしか出来なかった。  分かることは隣の家に住んでいる幼なじみの真田(さなだ)七海がなぜかここにいて、なぜかとんでもないことを暴露したことだった。  死神……ねぇ? 俺は夢でも見てんのかな……?  さらっとした黒髪のショートヘア。白猫のついたペアピンが二個。ここまではいつもの七海だ。  虚ろな目で服を見る。七海には似合わない高級感を漂わせる真っ黒のワンピース。黒くて長いソックス。まさに全身真っ黒と表現してもいい。  そして『死神』を証明する物――身長より大きい鎌持っている。  その鎌を見れば、見た目は……死神と言えば死神だ。昔やったちょっとえっちなゲームで見たことがある。  だが、そのゲームに登場して死神ちゃんは七海のように大層可哀想な胸ではなく、もっと幸せ豊潤な胸だった。  しかし服装は七海のオリジナルのイメージなのか、なかなかよいセンスをしていると思う。特にスカートの中身が見えそうで見えないところはプラスポイントだ。。  って……何呑気なことを言っている俺は……。こういう時は、えと、何だっけ……? 確か、素数を数えるんだけ……。  ゆっくりと目を閉じた。次に開けた時、俺の悪夢は終わる。素数が何だかよく分からないが、そのままゆっくりと十秒数えた。 「…………はぁ……」  まるでここが無重力のようであるように小柄な身体が俺の頭上でふわふわと浮いている。  目が合い七海が微笑むが、俺は無表情になる。いつもなら芸人もびっくりスーパーリアクションがとることが出来る俺だが、これは無理だ。この事実は俺のキャパシティを軽く凌駕していたのだ。 「………………」  悪い夢だ……。これは夢だ。うん……そうだ。考えたくない。 「えへへ~。どうかな……?」  くるくると俺の頭の上で旋回している。スカートの中身が見えている言うまでもない。全身真っ黒のくせにパンツは真っ白だった。
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