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「わあ~面白い~」
楽しそうに七海は旗を振るように鎌を振り回す。ぶんぶんと俺の身体が右へ左へと……。とてもつもない痛みが俺を襲う。
「はぐら~、おろおろおろおろおろーっ!
やばい、意識が……。
「痛い痛い、バカ! もっと優しくしろぉおっ!」
「うぅ~。ごめんね、ちーくん、少し我慢して……うらぁーっ!」
ばかデカい鎌をベッドに向かって振り落とす。すぽっと腹から刃が引き抜かれ、俺は無惨にもベッドに叩きつけられてしまう。
「ぐぁあぁああっ!」
ベッドの上から叩きつけられたからか、あまりダメージはない。むしろ腹は未だに痛みが集中していた。
だがしかし、あんな馬鹿デカイ鎌で腹を貫かれたのにまるで何も起きていなかったように俺の腹は無事だった。もちろん出血すらしていなかった。ただ単に耐えられない痛みが続いていた。
「あれれ? そんなに痛かったのー?」
「うががががぁあっ! 痛い痛い……う、腹が……腹がぁ! 俺の腹がせいせいせーいっいい!」
あまりの痛みに言語もおかしくなっていた。痛み痛み。痛みで神経が焼き切ら、意識が飛びそうになる。
「お、お兄ちゃん! どうしたの?」
階段が駆け上がる音。ばんと力任せに木製のドアが開く。
茶色かかった髪に短いおさげが左右に二つ。左腕に巻かれた桃色の大きなリボンは花が咲いたように見える。
背の順では必ず先頭で、前ならえの時に腰に手をおくほど身長が低く、まだどこか幼い。
こいつは俺の妹、御榊友(ゆう)。どう見ても小さく幼くて小学生にしか見えないが中学ニ年だ。
友はクリッと大きな目に涙を溜めて、小さなで俺のお腹を撫でていた。
「お兄ちゃん、どうしたのお腹痛いの? 大丈夫? 大丈夫?」
「う、痛い……。めちゃめちゃ痛い」
「ふぇぇえ! どうしようどうしようっ! 110番!……は警察で、あれ? 118番!……は海上保安庁で、どうしよう!」
俺の妹はずいぶんとマニアックな番号を知っていた。
「もしかして、昨日のご飯に何かが入ってたのかな!? うわぁ~ん、ごめんなさいぃ! 絶対食用のトリカブトが原因だよぉっ!」
「いやいや、お前そんな物を俺に食わしたのかぁ……。ま、でも、お前のせいじゃない……ぐぅ……ただあそこにいる七海に襲われたんだ」
震える指で俺は天井を指差した。
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