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一時の静寂。男子生徒は、乾いた嗤いを微かに漏らすと、その場にへたりこんだ。
「そっそうだ、早く出ないと……」
覚束ない足取りで立ち上がると、靴箱の方へ歩き出す。廊下は既にいつもの廊下に戻っており、直ぐに廊下の端までたどり着いた。
それに少し安心しつつ、ゆっくりと歩を進める。……………………しかしそこで。
ガシャリガシャリと、聞き覚えのある規則正しい音が、また鳴った。
彼の足取りが、必然、止まる。寒いものが背筋を走り抜け、汗が体中から滲み出る。
振り向いてはならない。脇目も振らず、走り抜けろ。理性が訴えかけるが、本能は、怖いもの見たさで、首を徐々に動かしていく。止まらない。自制心が弱すぎた。
まるで暫く油を差していない錆びた鉄を擦りあわせたのような音を出して、ギギギギと首が後ろに回る。瞳に映る景色が少しずつ動いていく。その先に在るものを、映し出そうとする。
そこには。
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