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「良守…。」
「俺、小さい頃から兄貴にこういうときの為にやらされてたんだ。」
良守はそう言って苦笑しながら正守さんを見る。
「為になったろ?とにかく、意識が戻ってよかった。」
「ありがとう、兄貴。時音、心配かけてごめん。」
良守はそう言うと頭を下げて謝った。
あたしも頭を下げて謝る。
「あたしこそ、ごめん。…お帰り、良守。」
あたしは最後は笑って言ってあげた。
良守はニッコリ笑って頷く。
「おぅ!また明日から宜しくな!今夜はじじいが行くってさ。」
良守は面白くなさそうに言う。
正守さんはそれを見て苦笑していた。
修史おじさんはただ優しく笑って見守ってくれている。
ふと襖の方から繁守さんの気配を感じた。
きっと繁守さんも見守ってくれているんだ。
「そうなの?でも昼間は来れるわね。」
「あぁ!ぜってー行くって!」
それからしばらくして繁守さんも加わり、雑談がなされた。
繁守さんはあたしがいることに対して何も言わないでいてくれた。
これでとりあえず大切な人をまた失う必要はない。
その事が凄く嬉しかった………。
≧終≧
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