経緯

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 其所からはあっと云う間で橋桁は根元から崩れ、橋の上独り佇む私は藻屑と消えました。  私の死体は上がれなかったそうです。その未練でしょうか、私は薄い身体で年号が平成と成った今も深夜徘徊しております。  御昼間に留まるのは廣く伽藍とした倉庫であり、其れは京都の何処かしらに在る白猫さんの可愛らしい印付きの車が出入りする場所でありました。  当然ながら誰も私の姿に気付かないので揺ったりと積み上げられた荷物に乗り、足をバタつかせるのが日課となりました。
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