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奈緒「やっぱり手ケガしてるね」
救急箱を持ってきて、手を見れば案の定切り傷ができていた
アルト「……手…汚れ…る、から」
フルフルと頭を振って、手当てなんかいいと言うのだ
昔あった虐待がキミをそんなにも脅えさせてるの?
奈緒「大丈夫だから、手当てしようね?」
アルト「……」
無言だった
いーよいーよ!勝手に手当てするから
救急箱から消毒液を取り出して綿に染み込ませて、傷口にトントンとつけてやる
アルト「!(ビクッ)」
奈緒「あ、ごめん」
じわじわと、ブルーの綺麗な瞳が潤んでいく
ヤバイね、完璧に私が泣かせたじゃん
奈緒「えっと…ご、ごめんね?痛かったよね」
ふーっふーっと息を吹き掛けて、痛みを少しでもやわらげる
アルト「…へい…き」
ぽふっと頭にケガをしていない方の小さな手が私の頭に乗せられた
これって、慰めてくれてる?
そう思った瞬間、急いで手を引くアルトくん
ばつが悪そうにうつむいてしまった
奈緒「アルトくん…可愛い!」
むぎゅっと思わず抱き付いてしまうと、小さく苦しいよ…と呟く声が聞こえて、ごめんねと言って離れる
あ、絆創膏貼ってないや
思い出したように救急箱をあさって絆創膏を取り出して指に貼ってやった
奈緒「よしっ!完了ッ」
ニコーっと笑顔を浮かべまたキッチンへと行く
奈緒「すぐご飯にしてあげるから待っててね」
カチャカチャと皿の破片を片付けてしまい、違う皿を用意してカレーを盛りつけ、サラダを用意しリビングへと運んだ
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