ほんの小さな勇気

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「ふあっ……」  期末考査の終わった次の日の朝。  家を出てから伸びをし、浅く履いていた靴のつま先をトントンと地面に叩きつけて踵を合わせる。  外の気温は、ここが田舎のせいかニュースで言っていたほどに暑くはなく、風を幾分か涼しく感じることができる。  俺は川沿いに走っている長い道をただ黙々と歩き、学校へと足を進める。  校門をくぐり、緩い坂に入ったところで後ろから声が飛んできた。  「一ちゃん」  この声の主はもちろん、沙菜だ。  「おはよう」  笑顔の沙菜。  「おう」  そう言って、また前を向き歩き出す。  そんな俺の後ろを付いてくるかのように歩いている沙菜。
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