見えない距離

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 木々の葉は新緑から濃い深緑へと姿を変え、道の脇に生えている草は夏の太陽を浴びるため、空へ一生懸命に背伸びをしている。  風はジワリと掻いた汗を乾かすかのように頬を通り過ぎて行き、少し涼しく感じた。  高校に入学して3ヶ月。新しい生活にも慣れ、割りと楽しい生活を送れている。  1学期最後の学校行事とも言える、丸1日かけての期末考査が終了し、俺は大きく深呼吸した。  「どうだったよ、一護? テストの出来は」  深呼吸した後、目の前に出てきたのは深川慎二。  「まぁまぁだ」  「そおか。俺は――」  「ダメダメだったんだろ?」  「御明答。やっぱり1夜漬けで期末攻略は無理だわ」  と、頭をボリボリと掻きながら慎二は苦笑いをして言った。
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