見えない距離

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 俺が沙菜のことを意識し始めたのは高校に入ってから。  高校に入ったばかりの俺は、中学の時と何一つ変わらない行動をとり、沙菜とよく一緒に帰ったりしていた。  そのことが別に悪いことなんて思うはずもなく、そんな日々をすごしていたある日、新しくできた友達に  「お前、白水さんと付き合ってんだろ?」  と言われ、その言葉に俺は直ぐに答えることはできなかった。  けど、 「そんなはずないだろ」  と白を切ったかのように、答えた。  その瞬間から俺は、沙菜と見えない距離を作った……。  多分……。いや、自分でも気づいていたんだと思う。  この瞬間から俺は心の進化を遂げたんだと思う。  恥を怖がり、弱く汚い心を覆い隠す為の、自分の殻を作るために――。
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