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身支度をしながら、今回の依頼主のことを考える。
魔女とは、魔法を使う者。そして不老不死である人を言う。容姿など自在に操れる。
「魔女か……。ロボットを造って何をするきだろう」
魔女の家に行くのに、気が引ける。昔の思い出が、頭に過ぎる。
「ハァー。……過去の感傷に浸っていちゃいけないな」
嫌々ながらも身支度をしていった。
◇
自分の家とは反対方向にあり、人を寄せ付けない雰囲気の家。とはいっても、普通の家だ。
僕と同様に一軒家。
意を決して、僕は魔女の家に入った。
「こんにちはー! 依頼された技師ヒカルです」
反応がない。どうやら魔女はいないらしい。失礼ながらも僕は、家の中に足を踏み入れた。
「ごほごほっ! これは汚いな。こんな場所で造るなんて不衛生だ」
机を触ると埃がつく。
「もしかして帰ってないのか?」
その時だった。背中越しに細い何かがあたる。
顔を後ろに向けた。そこには自分よりも小さい少女がいた。
「あなた誰?」
「……杖を下げてくれますか? 僕は技師ヒカルです。魔女さん」
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