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缶コーヒーを手に、芹香が戻り
外に居る三人には、何が起こったのか判らず
「何かあったの?」
「判らない…」
と、不安感が襲って来る
もしかしたら…
そう考えると、傍に駆け寄る事が簡単に出来ないもどかしさに、苛立ちさえ覚えてしまう
そう話している所に
仲村が慌てた様子で現れた
「先生!何が?」
「判りません
ちょっと待ってて下さい」
仲村にしてみれば、意識が戻ったという看護師からの報告だったが
安易な事を言う訳にはいかない
「様子を見て、ちゃんと知らせますから」
そう言うと中へと入って行く中村は
明らかに空の所に向かい
看護師達も空のベッドに集まっていた
「琉璃…」
不安そうなユウの声
琉璃も無言でユウの手を握りしめ
芹香は二人の肩を抱きしめた
ベッドは取り囲まれる状態で
ユウ達にとっては壁と言える人垣が
視界を遮っていた
固唾を呑んで見守る
お願いです…
大丈夫だと
問題無いと
お願いですから、そう言って…
心の中でそう祈る
すると、スタッフがベッドを囲んだ状態から
ユウ達に向かって道を空ける様にベッドから離れた
すると、三人の目線の先に
ベッドの頭の方を斜めに立て
ユウ達から顔が良く見える様に
背中を魁に支えられながら
頼りなげに手を挙げる空の姿が見えた
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