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そして、少し考え込んだ後
「いいですよ 車椅子で行ってらっしゃい
幸い胸の音のも問題無さそうですし…ただ、15分だけですよ」
出来るだけ短く期限を切っておかないと、いっその事…とばかりに
ウロウロして帰って来ない気がした
「藤木さん
良くなったとはいえ、まだまだんなんですからね
貴方の頑張りに免じて、少しだけ許します」
そうニッコリと仲村が言い
「ありがとうございます」
と、してやったり と言うような顔つきで魁を見た
看護師が車椅子を用意して、魁と共に空を助け起し
空は、腹部の傷跡の痛みに絶えながら、なおかつ
久しぶりに起き上がる事で感じたふらつきを気付かれないように
実は必死になりながら、車椅子に移った
足元がふらついている事を、魁は気付いていて
気付かれない様にしようともがく様子を
可愛くも、いじらしくも…
また、腹立たしくも感じながら
「後は俺が連れて行きます」
と、看護師に声を掛け、NICUに向かった
空が目を覚ました時に、魁が一番に伝えたのは
「子供は、小さいけど元気な女の子だよ」
という言葉だった
その魁の言葉に、静かに涙を流した空
まだ体力も回復していなくても、何よりも我が子に会いたかった
NICUの入り口で、担当の看護師に声を掛けて、中に入れて貰った
透明のプラスチックの箱の中
車椅子に座る空の位置からは、中は見えない
魁に支えられ、どうにか立ち上がった
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