ひとつの終わり、ひとつの始まり。

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Bar 『Love Notes』 都心部から少々離れているのに、結構人気のあるこの店。 人気の要素は、バーテンダー兼店長の直人が作るカクテルの腕前と、R&Bジャズが流れる店内の雰囲気。 …中には直人目当ての女性客まで。 当の本人は、 「アイツ、やっぱモテていいよなー」 なんて、自分が視線を独占してるのに気づいてなくて。 彼が勘違いしている『アイツ』は…… カラン…♪ 「いらっしゃ…」「なぁなぁなぁ、聞いてくんない?今日さ、経理の佐々木さんに『今夜、飲みに行きませんか?』って誘ったのよ。んで、何て言ったと思う??」 「お前…店来て第一声がクイズかよ」 「クイズじゃない!俺の人生がかかった言葉だ!!」 入店するなりカウンター席で接客中の直人にツカツカ歩み喋る男。 『人生かかった言葉』に直人は呆れ顔。 『アイツ』が、彼。 慎吾だ。 「…で、『さっき』さんは何て言ったの?」 「『佐々木』さん!『もしかしてLoveNotes?あそこのバーテンダー私タイプなんですぅ。友人なんですよね、紹介してくれませんかぁ?』だぁって~(撃沈)」 慎吾は先ほどの一連のやり取りを直人に分かりやすく声を女性らしく甲高くしてまで小芝居を初め、一人うなだれた。 「俺は、飲みに誘ったのにぃ。淡い恋を発展させようとしたのにぃ。」 「わかったわかったわかった。他のお客様も居るから静かにな」 「すいません、友人なんです」と周りに謝りながら、慎吾をカウンター席へ座らせる。 恋多き慎吾にとっては、此処は【友人の職場】よりも【恋愛相談所】のほうがしっくりくる。 勿論、玉砕後の愚痴吐け場所でもある。 既婚者直人にとっては、 「直人」 「ん?」 「お前今『うざい』って思ってるだろ」 「思ってたら慎吾を入店禁止にしてる」 …なれたみたい(笑) 「あ、ご注文は」 「…うーん…ハイボール」 .
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