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キィン、と甲高い金属音が鳴り響く。同時に、対面の男子生徒の手から幅広の大剣が離れた。
床を滑るそれを確認し、私は彼の首に剣を添えた。それで、終わり。
「勝者、エリス!!」
ワァッ、と歓声が上がる。剣闘士じゃあるまいし、この見世物状態を誇らしく思ったりはしない。
逆に私は、失望していた。屈辱に震える男子生徒に、嬉しそうな観客に、何の感慨も無い教師たちに。
下らない、下らない。重い大剣を振り回すだけの単調な攻撃しか出来ない愚図が、何を悔しがると言うのか。
これ以上視線を浴びるのが嫌で、私は壇上から降りた。羨望も、嫉妬もいらない。いらない、いらない。
こんな場所、早く離れてしまいたかった。試験は終わったのだから、既に居る意味もない。
私は訓練用のショートソードを棚に戻し、歩く。アテは無いが、歩くしかない。
夕焼けに燃える、遠くの山々が眩しい。あそこならきっと、もっと清々しいのではないか。
そんなことを思いながら、私は雑踏に紛れた。
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