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「分かった。ならこういうのはどうだ? 俺がお前らの代表と腕相撲をする。俺が勝ったらエリサと俺に謝って、金輪際突っ掛かってこない。逆にお前らの代表が勝ったらさっきの条件全て果たそうじゃないか。腕相撲ならどちらも痛い思いはしないだろう?」
「ぶわはははは!! おめぇみてえな優男が俺らに腕相撲だぁ? 勝敗は決まったようなもんじゃねぇか!」
「ハハハ、それもそうだな。で、どうする?」
一々相手の低レベルな挑発に乗っても仕方ないので、冷静かつ慈愛に満ちた俺はあくまでも微笑みながら対応する。
勿論エリサは何も言わない。それじゃイエスなのかノーなのか知る由もないのだが、何も言ってこないエリサが悪いということで勝手にイエスと判断させてもらう。
「酒が入って相手見違えてんのかぁ? まぁいい、俺が勝つからな!」
ドカッと木造の椅子に腰掛けてたテーブルの上に肘を立てて、腕相撲の構えをとるトロール。いや間違えたゴロツキ。
それを見てから俺もゆっくりと腰掛ける。マスターがこっちを見て、またしてもやれやれと首を振った。このほうがシンプルだろ?
「俺の太い腕に比べりゃその木の枝みてぇな腕、簡単にへし折れちまうぞ!?」
「「ガハハハハ!!」」
どうやら笑うのが好きで好きでしょうがないらしい。そのゲロ臭い口じゃ、女も寄ってこないだろうに。
そして俺は薄ら笑いを浮かべながら、最終確認をした。
「アンタこそ俺に負けて薄っぺらいプライドずたずたにされないように気をつけろよ」
「あぁん?」
「レディー……ファイト!!」
掛け声を聞いてから、俺は力を込めて腕を倒した。
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