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「ったく人のバーで暴れやがって」
「いやはやバーなんて洒落たもんだったか?」
「…………」
「まぁ気にすんな。それよりさっきの話の続きだが……」
軽い冗談を挟みつつ会話を、先程エリサの馬鹿が暴れたせいで中断された前の話に戻すことにした。
だが、マスターは憮然とした顔で喋る気がないようだ。やれやれ、少しからかっただけじゃないか。
「ま、要は嫌な予感がするから気をつけなってことだ。俺からはそれだけだ」
「……拗ねるなよマスター。そうか、じゃこの話はここまでだ」
丁度飲み終わったグラスをマスターの目の前に突き出し、俺は席を立った。いい感じにアルコールが身体中に回ってる気がするが、ふらつくほどじゃない。
まるで何も無かったかのように和気藹々と騒ぐ連中を見て思わず顔が緩む。夕方だというのに酒かっくらってんなよ。俺も人のことは言えないけどなククク。
「何笑ってんだ若僧」
「いや何でもないさ。また来るよ」
「おう、また来やがれ」
グラスの傍らに置いておいた手袋をはめて、俺は酒場を後にした。さて、エリサを探すついでに散策とするか。
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