第一章―鬼退治―

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 俺の名はカイト。放浪の旅を続けているしがない賞金稼ぎだ。  以前は賞金稼ぎなんてもんは絶滅危惧種並みにしか見られなかった職業だったが、ここ最近になって爆発的に人気が増えている。  賞金稼ぎになる奴は様々で、元々賞金稼ぎだった奴や紛争地の傭兵、中には元商売人ってのもいるから判らない職業だ。といっても、俺の場合は何でも屋の傭兵といいほうが近いが。  では何故、ここ最近にそんなマルチな奴らがこぞってなりたがる賞金稼ぎが増えているか。  理由は単純にして明解。賞金のターゲットとなる魔物、一部では魔獣ともいうらしいが俺が聞いてきた中で馴染み深い名は魔物なので、ここでは魔物と呼ぶ事にする。  まあ話が横道に逸れたが、要はその魔物が急激に増えて人間共を襲い始めたからだ。  ある高名な生物学者の説によると、短期間の間にここまで一生物(といっても魔物には数々の種類がいるが)が増加するのはありえないという。  更には、本来気性が荒くないものまで狂暴化してるというのだから、益々混乱が混乱を招く。  何にせよ、俺ら賞金稼ぎにとっちゃターゲットが多くて困ることはない。簡単な話だ、殺るか殺られるかのガキでも分かることだ。
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