第一章―鬼退治―

3/37
前へ
/219ページ
次へ
 そして俺は今、その殺るか殺られるかの勝負に打ち勝って拠点地であるギハークスという街に歩みを進めているところだ。  今回の依頼はさほど難しいものではなく、森を荒らし回る魔物を討伐するだけのものだった。  依頼内容はシンプルだし討伐対象は、森の巨人と呼ばれるトロールを一匹倒してほしいとのこと。  別段、ミュータント(突然変異体)と化した通常よりも遥かに馬鹿デカイ大きさだったりしたわけじゃないから、何度も言うがさほど手強いわけではなかった。  事実、今俺の右肩の風呂敷には討伐した証としてトロールの首が入っている。 「見れば見る程焼き尽くしたくなる醜さだな」  風呂敷に包まっているソレから目を離し、目前にまで迫っている拠点の入口に視線を向けた。
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

943人が本棚に入れています
本棚に追加