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「へいらっしゃい! 今朝入荷したばかりのグリズリーの肉だよ!」
「帝国騎士団仕様の武器と防具です。レプリカとはいえ、性能面では引けをとらない武具が、今なら一割引でお買い求められますよ」
街に入ると同時に様々な喧騒が飛び交う。行商人が別大陸から輸入してきた新種の食料や、帝国騎士団仕様の剣や槍まである。
ギハークスが活発な原因は、大陸に一つしかない帝国を除けば交通量が莫大なことだろう。
帝国に行く道中にあるこの街では必然的に旅商人や、傭兵、他にも多種多様な人材が集まる。そのお陰で元は小さな街だったギハークスが大規模な主要都市へと発展したというわけだ。
「ひとまず、依頼人サマの所に行くとしようか……」
赤レンガが敷き詰められた大通りを踏み締め、目的の場所へと向かう事にした。
☆ ☆ ☆
「いらっしゃい。注文は?」
「酒を一杯、それと依頼の『品』だ」
キィと軋んだ音を発ててぼろけた扉を開けると、無愛想なマスターと顔を合わせることになった。
先程の大通りにも負けず劣らずの喧しさを撒き散らすここは酒場。通称「ギルドカウンター」といい、大抵の街には一軒ある建物だ。
俺みたいな賞金稼ぎはある意味故郷とも言えるいつ来たって騒がしい場所だ。
「ほらよ」
ドンとカウンターに座る俺の手前に、注文したギハークス産の酒と報酬金の入った小包が置かれる。
「ん、これだけか?」
「馬鹿野郎、今までのツケと今回の酒代抜かせてもらった」
やれやれと呆れてマスターは、他の仕事を続ける。やれやれはこっちの話だ全く。
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