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「この馬鹿野郎。……大きな声では言えねえが、これは確かな情報筋が仕入れた情報だ。世間ではあくまでも噂の域を出ねぇが、それは国のお偉いさん達が情報操作をしてるからだ」
「へぇ……」
正直な話、にわかには信じられなかった。しかし、マスターの口は虚言を吐かない。その事から判断するに『コレ』はどうやらマジな話らしい。
ただそこまでの噂なら疑問が頭にパッと浮かんだ。
「じゃあ聞くが、帝国がそこまで言いたがらない噂の内容はなんなんだ? 近隣諸国との戦争じゃ負けるわけがないぞ」
あくまで『一部の奴ら』が結託しないで、という条件付きだがな……。
「それは…………」
マスターが言いかけた刹那。店の大テーブルのほうからけたたましい轟音が反響し、俺の鼓膜を揺らしてきた。
大して気にもしない……というわけにはいかない気がしたので、いい具合に血にアルコールが回ってきて火照った身体をゆっくり反転させる。
そして残念ながら嫌な予感が的中し、そこには見知った顔がいた。
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