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「じゃあどうすりゃお前らは引き下がってくれるんだ? 金なら一ギルも無いぞ」
「けっ、この貧乏人が。そうだなァ……」
じっくりと値踏みするようにエリサと俺をジロジロ見つめる。生憎、俺は男は好みじゃないので悪寒がほとばしるだけだ。
「男の方は持ってる身ぐるみ質屋に入れてこい、女の方は一晩中俺らの相手したら許してやるよ」
「「…………」」
これは何処か立場が逆転してないか。大体何故場を上手く収めようとした俺が、身ぐるみ剥がれてエリサ如きの為に金を持ってこなくちゃならないんだ。
それに、そろそろ隣に立ってる女が憤怒しそうなのが手にとるようにわかる。まぁ俺には関係ないがな。
「俺は遠慮しておこう。たかが相棒の為に金を作る気にならないんでな。エリサは?」
「奇遇だな私もだ。こんな能無しと一緒に貴様らに許しを請う意味がわからない」
「……お前ら謝る気はないのか?」
どうみてもお前らのほうが場を乱してるだろ、この屑共が。ということで交渉決裂したので、俺はこの場から去るとしよう。
エリサには勝手に後始末をつけさせるとして……俺は街に行って、また依頼でも探すか。
「後は頼んだぞエリサ」
「ふざけるなカイト、後始末もせずに逃げるのは良くないぞ」
「お前の責任を何故取らないといけない。それこそふざけるな」
コイツの辞書には自己責任の文字がインプットされてないらしい。来世に期待するしかないな。
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