第二章 始まり

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そこで、殺気が混じる視線をひしひしと感じてきたので、俺はソファーに座り直した。 咳払いを一つ。 「本題だよな、玲菜。そうそう」 「だーかーらー。本題ってなーに?」 首を傾げている玲花さんに対し、玲菜は単刀直入に切り出す。 「昨日、私に渡した指輪のこと」 「えー……あー……うん。その事、ね」 玲花さんは、罰が悪そうな表情を浮かべる。 「……また怒るの?」 「別にそういうわけじゃないわ。誰にもらったかを詳しく聞きたいの」 「うんうん」 頷く、俺。 そこで玲花さんは口元に指を添えて、 「うーん……」 と、唸り始めた。 「まさか覚えてないの?」 「かなり酔ってたしねー。しかも、その人黒いフードを被っててさ。顔なんか全く見えなかったんだよね」 「…………」 ……黒いフード、か。 「……そんな不審者みたいな人から、よく平気な顔をして受け取ったわね」 「仕方ないじゃん!!凄く綺麗だなって思ったんだもん!!」 ぷりぷりと怒る玲花さん。 ……どっちが母親なのか、わからなくなるな。
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