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睡眠恐怖症を治したのは睡眠恐怖症の彼でした。
午後の3時には必ず二人でお茶を飲む約束をしていた。
アールグレイの香りが2人を包みこみ、
温かい液体が喉をとおって私の渇きを潤す。
何をするでもなく、彼に抱き締められたまま、時間がたつのを待っていた。
「……眠い…」
「寝れば?」
「いいの?」
「だめ。」
他愛ない会話がとても愛しい。
暖かい空気が肌を撫で、油断をすれば今すぐにでも眠ってしまいそう。
2人は睡魔からの誘惑をかたくなに拒否し、
お互いの隙間を埋めようとするかの様に身を寄せあった。
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