睡眠恐怖症を治したのは睡眠恐怖症の彼でした。

1/9
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

睡眠恐怖症を治したのは睡眠恐怖症の彼でした。

午後の3時には必ず二人でお茶を飲む約束をしていた。 アールグレイの香りが2人を包みこみ、 温かい液体が喉をとおって私の渇きを潤す。 何をするでもなく、彼に抱き締められたまま、時間がたつのを待っていた。 「……眠い…」 「寝れば?」 「いいの?」 「だめ。」 他愛ない会話がとても愛しい。 暖かい空気が肌を撫で、油断をすれば今すぐにでも眠ってしまいそう。 2人は睡魔からの誘惑をかたくなに拒否し、 お互いの隙間を埋めようとするかの様に身を寄せあった。  
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!