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「おはよう。平木」
自分の後ろから声がした。
この声…もしかして…
克也は少しおどおどしながら後ろを振り向いた。
そこには…
かがみの姿があった。
「え?あれ?柊?」
「何?ってか挨拶したのにあんたは無視か」
かがみが呆れた顔でつっこんでくる。
「あっ、ごめん。柊。おはよう」
「はい、よろしい」
かがみは少し笑いながら言った。
「…何がおかしい?」
「え?いやだって、あんたがぽかーんとした顔してんだもん」
「ぽかーんとした顔?」
「そう。ぽかーんとした顔」
そう言うとクスクスと笑いだした。
「…俺はどうしたらそのぽかーんとした顔が直るんだ?」
克也は苦笑いをしながらかがみに聞いた。
「あんた、なんで私達の後ろをこそこそとついてきたの?」
「えっ!?」
克也は少し焦った。
(ばれてたのか…。どうしよう?…ここは正直に言っておくか)
「柊、実は…」
「恥ずかしくって声かけられなかった。とか?」
「へ?」
克也の声が裏返った。
「図星か…」
はぁ~、っとため息をつくかがみ。
「あんたいい加減恥ずかしがるのやめたら?」
「やめられたらやめてるよ…」
トホホ…、と克也は肩を落とした。
「まったく…。そんなんじゃいつまでたってもつかさは振り向いてくれないわよ?」
「うん…。そうだね…」
その時、ふっ、っとつかさの事を思い出した。
「ねぇ?つかさは?」
「…今ごろ気付いたの?」
「え?う…うん…」
「…まぁいいか。つかさはあっちの車両でこなたと話してるわよ」
ほらっ、っと指をさす。
しかし、指がさしている方を見ても全然見当たらない。
「全然見えないけど…」
「人が多いから見えるわけないでしょ!」
激しいつっこみが入る。
「だったら指さすなよ…」
「何となくそこにいるって事が分かればいいのよ!」
「…そんなもん?」
「そんなもん!」
まぁいいや、と克也は言い窓の方を見た。
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