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「今日も暑くなるな~」
「そうね。でも別に今日は体育ないわよ?」
「まぁそうだけど…。気分的に嫌じゃん」
「まぁわからない事はないけど…」
かがみがそう言った瞬間、電車が急にブレーキをかけた。
「きゃ!」
そういい、かがみは克也によりかかった。
「ちょ、柊?大丈夫?」
「う…うん。大丈夫…。っておい!」
「何?」
「何どさくさに紛れて私の手を握ってるのよ!」
かがみにそう言われて自分の手を見てみると、確かにかがみの手を握っていた。
「ごっ、ごめん!柊!つい…」
「つい?つい何よ!」
かがみは少し怒ったような顔をした。
「いや…柊がこれ以上…俺から離れないようにって…」
「……」
「柊?」
かがみが突然黙ったので、克也は焦った。
「本当にごめん!もう絶対にしないから!」
ぺこり、と頭を下げる。
「……」
それでもまだ黙るかがみ…。
(そうとう怒ってるのか…。口聞いてもらえなかったらどうしよう!!)
オロオロしながら必死に謝ってると、かがみが小さな声で…
バカ…
と言った。
「え?何でバカ?」
「あんたのせいで…違う意味にとらえちゃったじゃない!」
「違う意味?」
(違う意味ってなんだろう…)
克也は考えた。
いや…柊がこれ以上…俺から離れないようにって…
(ん~別に変な事言ってないよね?じゃあ何でバカ?)
考えれば考えるほどわからなくなった。
「出たよ…。あんたのボケが…」
かがみは克也に背中を向けながら言った。
「俺はぼけてないよ」
「…はぁ~。もういい」
かがみはため息を一つつきながら克也に言う。
「もうすぐつくわよ」
「あ、本当だ。以外と早くついたな…」
「以外と早くって…。あんたいつも乗ってるだろ」
「いや、いつもだったらもっと遅い感じが…」
「……」
「柊?」
「ほら、行くわよ!克也!」
かがみがそう言うとちょうど扉が開いた。
「え?今俺の事…」
「はいはい。質問あと。私走るから!」
そう言ってかがみは走って先に行ってしまった。
「…確かに俺の事、克也って言ったよな?」
変な気持ちになりながら、今日も一日が始まるのでした。
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