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真っ白な雪の中
小刻みに震えるあたし
空から溢れる銀の粉雪に
目線を空へ向ける
頭に大きな、暖かい掌
顔はよく……見えない
男の人のようで、独特の低い声
「この事は忘れよう」
優しさが滲み出た、声
まるでお父さんみたいな安心感
「わかった。……ありす、いい子だからわすれる」
暖かい声の持ち主が、笑った
ああ、あなただったんだ
真っ黒な髪に深い藍色の瞳
口から覗く、大きな牙
―――――――――
「ありす」
誰かに名前を呼ばれた
けど、あたしは眠り続ける
「――――柊」
「ありす…っありす!」
「んぅ~……あと、もーちょっ」
「柊ぃぃい!!!」
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