金木犀

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強く香る金木犀。慎ましやかな乙女が強い香りを放って自分の存在に気付いて貰う。 羨ましいよね、相手を振り向かせる切り札があるなんて。 私なんて忍にとったらただの幼なじみだもの。サッカー部のエースって呼ばれるくらいになった忍と、友達に赤点のエースと呼ばれた私。釣り合うわけもない。(赤点は仕方ないよ!!英語は元より、数学や生物で苦手だと思う内容が一気に集まったんだもの) っていうかさ、最後に忍と話したのはいつだろ??えっと、おばさんに忍が忘れた弁当を頼まれて届けたときのだから、もう1ヶ月近く前の話だ。しかも、話したのは一言二言。せっかく渡すのは早い方が良いと思って朝練終わったばかりのサッカー部に届けに行ってあげたのに、ありがとうと言った後スグに私を追い返した。邪魔なんてする気無いのに。それからずっと喋ってない。 月並みな言葉だけど、私はサッカーをしている忍が好きだ。だから一緒に遊べなくても理解はしてるつもり。 だけどさ、もう友達って言える関係でも無いんだよね。ただ幼なじみってピンからキリまである言葉で何とか繋がってるだけ。 好きだけど近づけない。 金木犀の香りが鼻の奥にツンって来て、涙を誘った。 今日家に帰って、思いっきり泣いて、それからぐっすり眠ったら、この恋に終わりを告げよう。自分勝手に始めて、自分勝手に終わる恋だけど。 私は自分からぶつかって、全てを失いたくはないから。 月夜の下を歩く <昔はあんなに一緒だったのにね。><私は闘うことも出来なかったの>
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