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金木犀の香りが俺を惑わす。
何なんだよ、アイツ。昔は一緒にヤンチャやってたのに、男の中に居ても違和感なんてなかったのに。いつからだよ、あんなに女らしくなって俺から離れていったのは。
体つきも顔つきも、全て変わって。何も変わってない俺は置いていかれているような気がして必死で目を背けていた。
まるで自分の影に怯えるような愚かさでさ。
最後に話したのはいつだ??そうだ、忘れた弁当を届けに来た時だ。満面の笑みを浮かべながら話すアイツを他のヤツに見られたくなくて、早く追い返した。
けど、それ以来智和がアイツに興味を持っちまった。事ある毎にアイツの事を聞き出して来る。正直、焦っていたんだ。
本当に、俺らしくもないな。
俺がアイツを避けて通れば、智和はアイツに近づけないだなんてバカな事を考えてたんだから。
でも今日智和が言ってきたんだ。明日、話しかけてみるって。笑みを浮かべながらも、試合中に見せる真剣な目をしながら。
ソコでやっと気付いたんだ。自分の気持ちにさ。
ふざけんな!あいつはやらねぇ!なんて子供じみた気持ちを言葉に出して、走り出した。
早く帰って、アイツに俺の気持ちをぶつける為に。
月夜の下を走り抜ける
<お前にフラれて、お前が遠くなるのが怖かった><お前の中ではいつだってカッコいいままの俺でいたかったんだ>
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